内部統制を中小企業にも導入

ルールの明確化で業務向上


 内部統制とは、経営陣による企業内部の管理体制構築が善管注意義務であるとして、商法特例法で委員会等設置会社に義務付けられたもので、会社法の施行に伴って広く知られるようになったルールだ。主な目的として、事業活動の目標達成のための「業務の有効性および効率性の向上」、重要な影響を及ぼす可能性がある情報についての「財務報告の信頼性の担保」、事業活動に関わる「法令や会計基準の順守」、有形・無形、人的資源も含む「資産の保全」の4つが挙げられている。

 

 中小企業には設置等の法的義務はないものの、導入を検討する動きもある。SNSの普及による不祥事の拡散など、トップの思いが必ずしも従業員全員と共有できているとは言えない状況では、ある程度のマニュアル化による「統制」が有効になる。

 

 しかし、そもそも内部統制のない会社はない。社長がいて社員がいる以上、社の方向性や社内ルールは存在し、経営者の指し示す方向に会社が歩んでいるのは内部統制の結果だ。そのため、わざわざ文書でルール化しなくても、文化として社内に浸透していれば、それだけで立派な社内統制であるともいえる。

 

 だが、長く続いているだけの〝伝統〟を文化だと思い込み、社内統制が効いていないことも少なくない。社員を縛り上げるのではなく、社長の思いを浸透させるためにも、あえて「社内統制」を導入する企業が増えているようだ。(2019/03/20)