個人事業主の事業承継

名義変更に注意


 個人版の事業承継税制が10年の時限措置でスタートする。今年1月1日から2028年12月31 日までの間に贈与によって特定事業用資産を取得し、事業を継続する後継者は、担保の提供を条件に、認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち贈与により取得した特定事業用資産の課税価格の100%に対応する贈与税額が猶予される。

 

 ここでいう特定事業用資産とは、不動産貸付事業等以外の贈与者が事業で使っていた面積400㎡までの土地、床面積800㎡までの建物、建物以外の減価償却資産を指している。

 

 事業を引き継いだ個人事業主が、青色申告や消費税の簡易課税を引き継ぐには、改めて届出書を提出する必要があるので忘れないようにしたい。また従業員を雇っているときは、法人とは違って雇用関係をそのまま維持することはできない。個人事業であれば雇用契約をいったん解除して、新たに契約を結び直す必要がある。

 

 同様に取引先との契約も後継者の名義に変更しなくてはならず、事務所や店舗などの賃貸借契約も事業を承継する人の名義から、後継者の名義へと変更しなければならないなど、いろいろと面倒も多い。法人と異なり、権利義務関係や財産が全て個人事業主という個人に帰属しているためだ。(2019/03/26)