会社法やその施行規則が定める「役員」は、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事をいう。一般的には会長、副社長、専務、常務といった人も役員と呼ばれるが、取締役などの役職がなければ、会社法上の役員にはならない。
これに対して法人税法上では、範囲がより広く設定されており、重要な経営判断に関与しているなど会社経営に従事している人はすべて役員とされる。また、同族会社の社員のうち、株式の所有割合がその社員と親族関係者で全株の1割を超えているなどの「持ち株条件」を満たした人は対象になる。
法人税法上の役員に支払った給与は、毎月決まった日に同じ金額を支払う「定期同額給与」などを除いて会社の損金にできない。取締役などの役職がなくても、会長や副会長、理事長、副理事長、総裁といった肩書の人が役員会議に毎回参加するなど経営に関わっていると、その人への給与は役員給与とみなされて損金算入ができなくなる。
なお、労働基準法の「役員」は、管理監督者として原則的に労働時間の制限を受けないひとを指すが、実態として一般の従業員と同様に働き、役員報酬でなく賃金を受け取っていれば、いわゆる「名ばかり取締役」として一般労働者と同様に扱われることになる。(2019/10/02)