事業承継で自社株買い

株主資本利益の改善にも


 事業承継で問題になるのは、後継者である相続人が自社株を相続する際に、莫大な相続税が発生してしまうことだ。このため会社が自社株を買い取るケースが徐々に増えてきている。

 

 相続人は、自社株の売却代金を相続税の納税資金にすることができる。また、自社株の買い取りは、発行済みの株式数の減少、株式資本の圧縮によって、一株当たりの利益や株主資本利益を改善することができる。これは株主に対する利益の還元にもなる。

 

 自社株の買い取りに際しては、事業計画や資金計画への影響を慎重に検討したい。銀行から融資を受けているのであればなおさらだ。また、自社株の買い取り額は、会社法によって「剰余金分配可能額(配当可能利益)まで」という規制があることも注意したい。(2017/12/01)