2019年 基準地価

札仙広福が東京圏しのぐ勢い


 国土交通省はこのほど、2019年の基準地価をとりまとめて公表した。各都道府県が調査する基準地価は毎年7月1日時点の全国の地価を公表するもので、土地取引や固定資産税評価の目安になり、1月1日時点の地価を調べて発表する公示地価を補完するものとも言われる。


 今年の全国の地価の平均(全用途)は前年度比0・4%上昇し、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇した前年から、さらに伸び率を拡大した。東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地で前年比0・9%、商業地で5・2%と、それぞれ前年より上昇幅を拡大させている。地方圏でも上昇傾向は顕著で、特に商業地では0・3%の伸びを示し、1991年の調査以来28年ぶりにプラスに転じている(表1)

 

 国交省は地価が上昇を続ける要因として、「雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること」と、「オフィス市場の活況、外国人観光客の増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発事業等の進展」を挙げている。こうした状況は、近年の地価上昇を支え続けている理由と言えるだろう。

 

 ただし多くの自治体で地価が上昇しているわけではない。全国に2万1500ある調査地点のうち約半数では地価の下落が続く。それでも全国平均が軒並み好調に見えるのは、札幌、仙台、広島、福岡の「札仙広福」エリアの地価が三大都市圏をしのぐ勢いで上昇しているからだ。

 

 

 これら地方中枢4都市は、住宅地で4・9%、商業地に至っては前年比10・3%と、三大都市圏をはるかにしのぐ伸びを見せている。エリアによって地価変動の傾向は二極化していることが分かる。

 

 また近年の傾向として、中枢都市以外にも、外国人に人気の観光地の地価高騰が著しい。全国の地価上昇率ランキング(表2)を見ると、スキーリゾートとして外国人に人気の高いニセコを抱える北海道倶知安町が前年から引き続いて上位3位を独占し、そろって60%超えという上昇率を誇っている。そのほか、前年には1地点のみがランクインしていた沖縄が4地点を占めるなど、南北の人気観光地が著しい伸びを見せた。

 

 もっとも地価そのものを見ると、東京や大阪が圧倒的に高額であることに変わりはない。地価高順位表を見ると、トップは7年連続で東京都中央区の「銀座2 -6 -7」だった。前年から3・1%上昇し、1平方メートル当たり4320万円を記録した。そのほか、上位8地点を東京が占めた(表3)

(2019/12/02更新)