夏は食中毒が流行する季節。飲食業を営む事業者にとっては気の抜けないシーズンと言える。当然のことだが、食中毒患者を出してしまった飲食店が受ける損害は相当なものであり、営業停止を余儀なくされることも考えなければならない。
こうした場合、保険会社から休業補償金が支払われることがあるが、これは法人所得または事業所得として、しっかり課税されることになる。営業停止となり、売り上げが落ち込む一方で、労働基準法では、事業所の休業によって働くことができなくなった従業員に対して、会社に平均賃金の6割以上の休業手当の支払いを定めている。
会社としては踏んだり蹴ったりだが、あくまでも食中毒は会社の過失ということになり、従業員には責任がない以上、その生活は守らなければならない。この休業手当は給与所得とされ、課税対象だ。
なお、業務上の疾病や負傷により従業員へ支給される休業補償は、所得税を課されることはない。ただし、「休業補償として通常の賃金を払う」といった独自の就業規則などにより支払われる賃金は、給与として取り扱うことになる。せめて税金面で特別扱いしてもらいたいところだが、そう甘くはないようだ。(2017/08/14)