電子タバコへの規制・課税の機運が高まっている。3月に厚生労働省が公表した「健康増進法」の改正案は、「受動喫煙の影響が分かるまでは除外」とされてきた電子タバコ(加熱式タバコ)を、一転、規制対象にした。ちなみに対象となるのは、正確には「加熱式タバコ」と呼ばれるタイプで、タバコ葉を電気で熱し、ニコチンが含まれた水蒸気を吸引するもの。一方、液状のリキッドを熱し、蒸気を吸引する電子タバコは、薬事法によりニコチンを含んだリキッドタイプに限っては製造・販売が禁止されている。
電子タバコの課税に関しては、これまでさまざまな議論があった。課税賛成派は、「電子タバコの蒸気に含まれる発がん性物質やニコチンは従来のたばこと同様のため、無害ではなく受動喫煙リスクがある」とする。反対派は、「電子タバコに含まれるニコチンには中毒性はあるが、従来のタバコに含まれるタールに比べれば、圧倒的に害は少ない」とする。
ただ、現時点では、健康被害に関する確たるデータが出そろっていない。しかし世界の趨勢は、規制の方向にあるようだ。イタリアでは、すでに電子タバコを課税対象としている。アメリカの主要都市では、喫煙禁止の場所では、電子タバコの使用を禁止。ブラジルやシンガポールではさらに厳しく、電子タバコの製造・輸入・販売を全面的に禁止。つまり、喫煙者の居場所は、地球規模で狭くなっているということだ。(2017/08/31)