遺産分割協議

行方不明者への三段階の対応


 遺産の分割は、共同相続人全員が参加する協議によって行われなければならない。したがって、相続人のなかに行方不明者がいると、遺産分割は極めて難航する。相続人のうち誰か一人でも欠けている協議は無効となり、遺産の分割は認められない。

 

 行方不明と言っても、①連絡先を調べる方法が分からず連絡が取れない、②生きているはずだが調べても住所がなく居所がつかめない、③7年以上「②」の状態が続き生きているかどうかも分からない――の3つのケースのそれぞれの状況で変わってくる。

 

 ①では、戸籍をたどるなどして、行方不明者の住所を特定するところからスタートする。特定できたら、手紙を書いたり直接住所地を訪ねたりして可能な限り連絡を取り、遺産分割の交渉を進めることになる。特定できなければ、②の段階に進み、家庭裁判所に不在者財産管理人を申し立てることになる。不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得たうえで、不在者に代わりほかの相続人との協議に参加し、遺産分割や不動産の売却などを行う。③の段階になれば、家庭裁判所に失踪宣告を申し立て、行方不明者を行方不明になった時から7年後に亡くなったものとみなしてもらうこともできる。(2017/08/16)