退職金代わりに営業権譲渡

重い税負担を分社化で乗り切る


 売上高20億円の卸売会社の話。ある月、利益2億円、在庫2億円となり1億円近い税金が発生してしまう。支払うには額が大きすぎる。顧問税理士は、社長に前払費用を立てること提案したが、お金がかかることにはかわりない。

 

 困った社長は、顧問とは別の税理士に相談する。この会社の収入は大きく分けて、本業である卸売業のものと、不動産収入の2種類だった。そこに注目した税理士は、会社を2つに分けることを提案。社長が退職金代わりに卸売部門を譲渡してもらい、別会社を設立することを勧める。

 

 幸いなことに、卸売部門の客観的評価も2億円程度だった。そこで社長は、退職金を2億円もらう代わりに営業権を取得し、元の会社から独立した。これほどうまい具合にいくケースはまれかもしれないが、重い税負担で納税が困難になりそうなときに分社化は検討すべき選択肢のひとつといえる。(2017/06/17)