「赤字の会社に税務調査は入らない」などと、わけ知り顔で語る人は多いが、じつはこれ、何の根拠もない。税務署は業界の動向を調べたうえで、赤字法人に対しても準備調査の段階で決算書や資料を詳細に把握し、経理処理のミスを指摘したり、場合によっては隠れた黒字を発見したりするケースがある。
例えば、消耗品に棚卸資産とすべき貯蔵品がないか、雑費でも役員の個人負担とするべきものが含まれていないかなど、税務調査官は目を光らせている。旅費では、旅費規程を綿密に確認し、規定通りに支出と記帳が行われているかどうかを照らし合わせる。また領収書では、手書きのものや宛名が「上様」となっているもの、高額な金額が記載されているものについては、念入りに裏取りするという。
給与についても、給与額を社員から直接聴取し、記帳してある金額との突き合せを行うこともある。このように、経理処理や記帳内容をつぶさに確認する作業が進められ、処理のミスや取り扱いの勘違いなどが炙り出されていく。赤字法人であっても油断は禁物だ。(2017/11/21)