父が死亡し、長男、次男、長女が相続人となった。葬式の後、父の書斎から見つかった遺言書には「次男に財産のすべてを相続させる」と書かれていた。長男と長女は「父は次男に暴力をふるわれていたし、かわいがっていたと思えないのに……」と困惑する。その後、タンスの奥に隠されていた父の日記帳に、「次男に遺言書を無理やり書かされたがどうしたらよいのかわからない」と書かれていたことを長男と長女は知る――。
被相続人を脅迫して遺言を書かせた人は相続人としての資格を失うので、次男は財産の一切を受け取れない。これは民法で定めた「相続欠落」という制度に基づくもので、ほかにも被相続人やほかの相続人を殺そうとして刑に処された人、被相続人の殺害を知っていながら告訴や告発をしなかった人、遺言を偽造、変造、破棄した人は相続権がなくなる。(2017/06/01)