相続人の中に服役中の受刑者がいると、相続手続きは少し面倒になる。相続人の間で遺産分割協議が成立しても、刑務所内にいる相続人が実印・印鑑証明書を用意できず、遺産分割協議書をつくれないことがあるからだ。
遺産分割協議書のフォーマットには法的な決まりはないが、認印しか押印されていなければ、その協議書の信ぴょう性が疑われてしまう。不動産登記に使用する遺産分割協議書には、通常、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければ、登記所で受け付けられない。
そこで、刑務所に相続手続きの一端を依頼することになる。遺産分割協議書に、受刑者本人の拇印を押捺してもらい、刑務所長より本人の拇印であることを「奥書証明」した委任状をもらえば、信用ある書類となる。
ただし、受刑者との連絡手段は郵便、電報などに限られてしまうため、その内容にチェックが入り、手続きにはかなり時間がかかるそうだ。(2017/08/04)