「木密地域」での建替に補助金

固定資産税の免除も


 東京都には、地震が起きると大規模火災の恐れがある木造住宅密集地(木密地域)が広範に分布している。そこで都は、木密地域を不燃化特区に指定し、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を進めている。

 

 東京オリンピックが開催される2020年までに、延焼の危険性がほぼゼロとされる70%まで不燃領域率を引き上げる計画だ。これまで、木密地域の解消は住民任せになっていたが、不燃化特区では区が整備計画を策定し、これを基に住民に働きかける点が特徴となっている。

 

 不燃化特区への都の優遇処置は次のようなものだ。木造住宅の建て替えを禁止し、鉄筋構造住宅への建て替えには補助金を出す。老朽化建物の撤去費を全面補助するほか、耐火・準耐火住宅の設計費も補助対象とする。耐火・準耐火住宅に建て替えれば、固定資産税や都市計画税を5年間全額免除する。老朽化住宅を壊して空き地にすると、固定資産税の減免措置を設ける。土地利権関係者が複雑な地区が多いため、建築士、弁護士、税理士ら専門家の相談所を地区内に設置する費用も補助する。

 

 さらに緊急車両の通行や円滑な消火活動につなげるために「防災生活道路」の沿道の建築物を不燃化すると、工事費の一部が助成される。現在、不燃化特区に指定されているのは、東京都23区内では、19区の53地区。減免の申請は、各区役所の窓口で受け付けている。(2017/08/30)