アメリカにも、日本の相続税に相当する「遺産税」という税金がある。日本の相続税と同じく、亡くなった人の財産に対して課税される税金だ。アメリカの遺産税は、基礎控除が543万ドル(約6億円)、最高税率が40%。つまり、6億円以上の相続財産がないと、アメリカでは遺産税はかからない。つまり、ほんの一部の富裕層にしか関係のない税金だといえる。
基礎控除を超えた日本人の相続人がアメリカの遺産税を払う2つのケースある。ひとつは、日本人である被相続人が日本に住んでいても、相続財産がアメリカにあれば、その財産はアメリカの遺産税の課税対象となる。なお、このケースではアメリカにある財産も日本の相続税の課税対象になるため二重課税となる。
これを防止するために、アメリカで支払った遺産税を日本の相続税から控除できる「外国税額控除」という制度がある。もうひとつは、被相続人が日本人でも、アメリカの居住者(米国の市民権を持っているひと)であれば、たとえ相続人が日本に住んでいても被相続人のすべての財産(日本にある相続税財産を含む)がアメリカの遺産税の課税対象となる。
これも二重課税となるため、日本の「外国税額控除」制度を使うことができる。さらに、このケースでは、日本で支払った相続税の一部を控除するアメリカ版の外国税額控除を適用することも可能だ。(2017/09/04)