慰謝料として妻に渡した「家」

代物弁済で譲渡所得課税も


 夫の浮気などが原因で離婚した妻は、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を受け取れる。この慰謝料は、非課税だ。妻は何千万円、何億円の財産をもらったとしても、贈与税も所得税も一切かからない

 

 ただし、妻が現金ではなく自宅を受け取りたいと望む場合は事情が変わってくる。むろん自宅という不動産を受け取っても妻に贈与税はかからないのだが、夫の側が所得税を支払わなければならなくなる。妻に対する慰謝料を、自宅という不動産で「代物弁済」したとみなされて譲渡所得が発生し、それに所得税が生じるのだ。

 

 実際には不動産売買していなくても、税務上は妻に売却したことになる。夫は、売却による利益をまったく得られず、しかも税金を取られてしまう。「マイホームを売ったときの特例」の3000万円控除も、親族間、または夫婦間での不動産売却では使えない。このため、離婚が成立し法的にも完全に〝赤の他人〟となった後で自宅を慰謝料として渡すべきだ。これなら特別控除が使え、無駄な所得税を支払わずに済む。(2017/08/28)