業務中に犯罪や事故に巻き込まれて死亡した会社役員には、大抵の会社では「死亡退職金」が支給される。支給額は株主総会などでの決議を経た額になるが、たとえ決議があったとしても「いくら高額でも構わない」というわけにはいかない。税務署が「不相当に高額」と判断した部分は損金算入されない。
役員の死亡退職金額の設定には、「死亡した役員の最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」という算式が用いられる。この「功績倍率」には明確な定めがないため、税務当局と納税者の間で「高く設定し過ぎている」「高くはない」と、しばしばバトルが繰り広げられる。高い功績倍率を設定したければ、「死亡した役員が創業者」「長年会社に貢献していた」などの事情を税務調査で証明する必要がある。
ただし、退職金は「退職給与」で、これまでの功績に対して支払われるものであり、一般的な金額から逸脱しすぎると「何か給与とは違う意図があるのではないか」と、国税当局から追及される恐れがある。
また役員が死亡したとなれば、社葬を行うこともあり得るだろう。社葬のために会社が負担した金額のうち、税務上、福利厚生費として損金で認められる範囲は、「社会通念上通常要すると認められる金額については、損金に算入しても差支えない」としている。社葬が得意先などを招いて社を挙げて行う会社の行事であり、私的なものではないと説明できるようにしておくことだ。このとき、遺族が負担すべき密葬費用や通夜費用、墓石、仏壇、位牌、戒名料、香典返礼費用などは社葬経費に含まれない。(2017/10/13)