被相続人の孫は、親が生存中である限り基本的に法定相続人にはならないが、養子にすれば実子と同様に「子」として法定相続人になるので、親族全体の相続税負担を減らすことができる。法定相続人が増えると、「3千万円+600万円×法定相続人の数」で計算する相続税の基礎控除額が増加する。また、「500万円×法定相続人の数」で計算する生命保険金と死亡退職手当の非課税枠もそれぞれ使える。
将来起きるはずだった子から孫への相続をなくせることも、相続税の負担を考えるうえで大きなメリットとなる。ただし、孫養子は実子と比べて相続税が2割分加算されるので、必ず税負担が減るというわけではない。相続人が実子や配偶者などの「被相続人の1親等の直系血族」以外のときは、その人の相続税額に2割加算される。孫養子は法定相続人にはなるものの、相続税法上の一親等にはならないため、相続税額が上乗せされる。
なお、養子の人数は民法上では制限されていないが、相続税の計算では上限が定められていて、被相続人に実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までとされている。(2017/04/27)