生前贈与では、受贈者(贈与を受けるひと)1人あたり1年間に110万円までの基礎控除が認められている。この非課税枠を利用して、自社株を毎年贈与していく方法がある。例えば、1株5万円の評価額であれば22 株(110万円÷5万円)を無税で後継者に毎年移転することができる。
同族株主グループ内の贈与であっても、次の要件を満たせば配当還元価額による贈与が可能だ。①その会社の同族株主が存在すること、②同族株主の中に中心的な同族株主が存在すること、③受贈者が中心的な同族株主ではないこと、④受贈者の贈与後の所有割合が5%未満であること、⑤受贈者が当該会社の役員でないこと――の5点。
贈与者が100%所有している場合は、その人の甥、姪に対する贈与を配当還元価額で行える。ただし、株式が分散してしまうことに注意が必要である。ちなみに「中心的な同族株主」とは、同族株主のグループで、株主とその配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族の有する株式(議決権)の合計数が、その会社の発行済株式(議決権総数)の25%以上である場合における株主をいう。(2017/06/18)