同族会社の「社員旅行」の支出に国税当局の目が向けられている。それは、一般の社員旅行に比べて一人当たりの費用が高額になるケースが多いからだ。
例えば、父親が社長、長男が専務、母親が取締役で長男の妻が経理、同族外社員はゼロという会社も珍しくないだろう。こうした社内構成であれば、社員旅行は限りなく「家族旅行」に近くなる。果たして、旅費を給与としてではなく、福利厚生費などの会社経費とすることができるのか。
所得税基本通達によると、社員旅行が経費として認められる要件は原則として4泊5日以内(目的地での滞在日数)で、かつ全従業員の50%以上が参加することとされている。ただ、ここに書かれているのはあくまでも日数と参加率だけで、旅行の中身については不明だ。
そこで、社員旅行か単なる家族旅行なのかの判断は、「事業に関連しない支出は経費にならない」という必要経費の基準で考えることになる。仮に1人あたり約3万円の予算で近場の温泉に2泊3日旅行というなら社員旅行で処理することも可能だろう。
だが、お盆休みに海外へ行って費用が1人20万円を超えるとなると、まず経費として認められることはない。家族のみの「社員旅行」でケチがつき、他の経理部分まで怪しまれてしまっては堪らない。注意したいところだ。(2017/07/30)