子会社が倒産の危機に陥れば、親会社は損失負担や無利息貸付、債務保証、債権放棄などで支援しなければならないだろう。通常の貸し付けなら、当然利息を取るが、それを取らない場合には、利息相当額の経済的利益を提供したとみなされる。貸し付けは寄付金と認定され、損金不算入となるのだ。子会社の方もその利息相当額の受贈益が発生することになる。
そのうえ低い利率で貸し付けている場合は、受け取っている利息と通常受け取る利息の差額が寄付金となるので注意したい。また、債権者の一方的な意思表示によって債務を消滅させる債権放棄も、会社が放棄した金額が一定の限度額を超えればその分は寄付金として扱われ、損金算入できない。
しかし、子会社の倒産防止のための合理的な再建計画に基づいた債権放棄など、相当の理由があると認められれば、寄付金には該当せず、貸し倒れ損失として損金算入が認められる。そのためには、親会社は子会社の経営危機の実態、損失を負担した場合にはその額の合理性、再建管理体制などについて充分に把握し、当局への説得材料として示す必要がある。
これに対して税務当局は、子会社は本当に倒産の危機にあるのか、過剰支援になっていないかなどを細かくチェックする。また、特定の債権者が意図的に加わっていないか、特定の債権者だけ不当に負担を重くしていないかなども確認することになる。(2017/08/15)