会社を経営していれば、ときには帳簿に載せられない経費が発生することもあるだろう。税務処理では、そうした不透明な支出は「使途秘匿金」として処理することになる。
その支出の条件は、①支出先の氏名または名称がわからない、②住所または所在地がわからない、③支出した理由がわからない――という3点。
「使途秘匿金」の支出に対する課税は、かなり手厳しい。損金としないだけでなく、支出額に対して40%の税金がかけられる。赤字の会社で、もともと法人税が発生していなくとも、この40%の税金は生じる。
さらに会計上、仮払金や貸付金などの資産として計上され、費用処理されていなくても、使途秘匿金の支出として課税されるケースもある。この規定は、使途を隠す必要のある不当な支出に対する制裁的な意味合いが強い。
そもそも使途秘匿金は、賄賂や談合金、秘密政治献金、総会屋対策費などの支出につながりやすい。こうした明らかな不正ではなくても「使途秘匿金」を計上するにあたっては、課税対象となったときの損害も織り込んで判断するべきだろう。(2017/07/13)