遺産分割をする前に、相続人の一人が、すでに無断で被相続人の銀行預金を使い込んでしまっていることがある。こうしたケースでは、他の相続人が使い込んだ相続人に対して「不当利得返還請求権」を行使することができる。
この権利は、他人の損失によって利益を得た者に対して、奪ったものの返還を請求するもの。時効は不当利益を得てから10年となる。
使い込みをした相続人は、「被相続人のために使った」「被相続人から贈与を受けた」という理由で返還を拒むことがある。それに対しては、被相続人に頼まれたことを証明する「委任契約」や、それに従った使途を説明する証拠を求めればよい。
もし、それらがないということになれば、不当利益返還請求は有利に進む。どうしても返還に応じなければ、弁護士に相談し、交渉による解決を図ることになる。それでもだめなら裁判所に訴訟を提起することが必要だ。訴額が140万円以下なら簡易裁判所、それを超える額であれば地方裁判所の管轄となる。(2017/07/10)