総務省によると、働きながら介護をしている人は291万人(2012年時点)。また、介護を理由に離職する人は毎年およそ10万人いるという。家族のためとはいえ、長年勤めた職場を辞めるのは苦渋の決断だが、企業にとっても、ある日突然、貴重な人材を失うことになりかねない重大な事態だ。
そこで、退職して一切の関係を切ってしまうのではなく、一時離職扱いにして介護給付金の支給を受ける選択肢も視野に入れておきたい。常時介護が必要な家族のために、2週間以上にわたって会社を休業する必要が生じた65歳未満の会社勤めの人は、家族1人につき最長93日分の介護休業が取得できる。
休業開始日前の給料の約4割が支給される。休業中に会社がいくらかでも給料を支払えば、その額によって支給額は調整される。配偶者や父母、子ども、配偶者の父母は同居していなくても対象となるが、祖父母、兄弟姉妹、孫は同居し扶養していることが条件だ。また、給付を受けるための勤務要件として、介護休業開始前の2年間で、1カ月に11日以上働いた月が12カ月以上なければならない。
契約社員や派遣社員などは、同一事業主の下で1年以上雇用されていることに加え、介護休業開始予定日から起算して93日経過する日を超えて引き続き雇用される見込みがあることが条件に付け加えられている。支給額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」となる。ただし、賃金月額(賃金日額×30)は、46万6500円が上限、6万8700円が下限とされている。例えば、賃金日額が8千円で支給日数が84日であれば、支給額は45万240円となる。(2017/07/15)