個人でアパートなどを貸し出す際には、その不動産が「事業的規模」なのかどうかをしっかりと確認しておきたい。
事業的規模と判断されると、①青色申告特別控除65万円が受けられる、②青色事業専従者給与を必要経費に計上できる、③賃貸料の不払分について貸倒損失を回収不能となった年分の必要経費に計上できる、④固定資産の取壊し、除却などによる資産の損失を全額必要経費に計上できる――といった多くのメリットがあるためだ。
事業的規模の判断は、「5棟10室」という基準が設けられている。これは、一戸建てなら5棟以上、アパートでは10室以上というもので、戸建て1棟とアパート2室を同等とみなしている。
1棟のアパートを複数人で共有している場合でも、全体で10室以上あれば、持分割合で按分する。各人の換算部屋数が10室を割り込んでも事業的規模とみなされる。また、「5棟10室」を満たしていなくても、多額の賃貸料収入が得られるようなケースでは、事業的規模であると判定されることもある。
事業的規模の賃貸料収入があるかどうかの判断は、社会通念に従って判定される。自営業者がアパート経営を兼業している場合では、アパート経営が事業的規模に達していなくても複式簿記による帳簿記録に基づき決算を行い、自営部分が赤字で、アパート部分が黒字なら、65 万円の青色申告特別控除が受けられる。(2017/09/27)