一人っ子独身者の相続対策

特別縁故者に相続可能


 一生独身だった一人っ子は、両親や祖父母が他界すれば、相続人が存在しなくなる。子どもも兄弟姉妹もなく、おじやおばは相続人にはなれないからだ。そして本人が死亡すれば、所有していた土地や家屋、貯金などの財産は、国のもの(国庫に帰属)となる。

 

 しかし、ただ放っておけば自動的に国庫に帰属するわけではなく、「相続財産管理人」によって相続人がいないことを法的に成立させる手続きを踏まなければならない。

 

 相続財産管理人は、生前本人と利害関係にあった人や弁護士が、家庭裁判所から選任される(多くは弁護士)。選任後、相続財産管理人が、その旨を裁判所の掲示板に掲示し、官報に載せて公告する。これは「相続人がいれば名乗り出てください」というお知らせとなる。

 

 相続人が誰もないと分かると、日ごろ介抱をしたり、世話をしたりした人が「特別縁故者」として自ら請求すれば、財産を受け取れる可能性がある。もし、一人っ子独身者が、相続人としたい「特別縁故者」がいれば、生前にその人宛の遺言状を書いておくと安心だ。

 

 ただしその前に、本当に相続人がいないか、事前に戸籍を調査した方がよい。父親だと思っていた人が母親の再婚相手で、実は別に兄弟がいたなどというケースもあるからだ。(2017/07/04)