夫婦共働きというのは、なにも会社勤めに限ったことではない。夫婦がともに会社の役員で、それぞれが報酬を受け取っていれば、それも立派な「夫婦共働き」だ。奥さんを自社の役員にして所得を分散している社長さんも多いことだろう。そんな夫婦がマイホームを購入する際には、「夫婦共有名義」にするとお得なことが多い。
共働きの夫婦ならば、住宅ローンの年末残高の1%が10年間、減税される。減税されるのは所得税と住民税。家を売却して譲渡所得が生じれば、3000万円特別控除・軽減税率の特例、または買い替え特例が夫婦ともに受けられる。
相続税上も有利だ。単独名義であれば、夫婦の一方が死亡すると、その不動産の評価額がそのまま課税対象となる。しかし夫婦共有名義であれば、一方の持ち分に応じた部分のみが課税対象となり、節税できる。
デメリットは、どちらかの収入に変化があった場合に生じる。仮に夫が妻のローンを立て替えて払うと、返済額が「妻への贈与」とみなされるので注意したい。ただし、110万円未満であれば、贈与税はかからない。
それ以上にやっかいなのは、離婚したときに家の売却がしにくくなることだ。住宅は共同財産となるので、共有者2人の同意が必要だからだ。一方が家を売却し、売却金を分割したいと希望しても、一方が住み続けたいと売却を拒否すれば、事実上売れなくなる。「夫婦共有名義」は、愛を失うと争いのタネになりかねない。(2017/11/10)