購入時よりも低い価格でマイホームを売却した結果、多額の損失を抱えてしまうひとがいる。こうした不動産売却損に対しては救済措置が用意されている。
原則として、不動産の売却損をほかの所得と損益通算することはできないが、一定の条件を満たせば、損益通算と翌年度以降の繰越控除も可能となる。例えば、所得1000万円の人が家屋を売却して売却損が3000万円発生すると、差し引き所得がマイナス2000万円となるので、その年は所得税がかからないことになる。
ただし、何もしないでいると翌年以降は家屋の売却損は使えずに、通常の所得税・住民税を払わなければならない。ところが、新たにマイホームを購入するとなると、マイナス所得の2000万円が生きてくる。その翌年、2年目、3年目にわたって、その損失を繰り延べ、最大で譲渡年の損益通算と合わせて4年間、所得税・住民税が免除されることがある。
なお、この救済措置を受けるには、平成29年12月31日までに長期保有(5年超)の家屋を譲渡し、譲渡年の前年から翌年12月31日までに新しい家屋を取得することなどが条件となる。(2017/07/06)