国土交通省が公表した全国の地価公示価格によると、住宅地の全国平均は9年ぶりに下げ止まったそうだ。実際には東京などの都市部の地価が上昇して全国平均を引き上げているだけのようで、地方では地価の下落が続いているところが多い。
問題は、土地が売れなくなっていることだ。全国各地で、土地の評価額が実勢価格と乖離する事例が頻発している。九州のある地方都市に住む40代女性は、大規模工場に近い住宅地の土地(約400平方メートル)を相続した。この土地を自分で使う考えはないため、不動産業者を介して売りに出しているが、立地が悪くなかなか買い手がつかない。数年前からは「タダでもいいから譲りたい」としているが、それでも引き取り手は現れない。
市から届く課税明細書には、土地の固定資産評価額が約350万円とあり、固定資産税・都市計画税の合計は4万円となる。更地であるため、課税標準が評価額の6分の1になる住宅の特例も受けられない。
このように、売却できずに固定資産税の負担に悩んでいるのであれば、各市町村にある「固定資産評価審査委員会」に、評価額の不服を申し出るのもひとつの策だ。ただし、評価額が覆る可能性は極めて低いのも事実。個別でなく、国レベルの対策が必要な問題となっている。(2017/11/17)